Archive for 12月, 2010

ホリスティック教育協会ニュース76号「白熱教室ブームと対話式講義の可能性」

月曜日, 12月 27th, 2010
白熱教室ブームと対話式講義の可能性                  神尾 学  出版界における今年最大のニュースは、マイケル・サンデル著『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)の大ヒットでしょう。アマゾンの売上トップ10を半年近くキープし、おそらく累計50万部に達するくらいの売り上げを記録しているのではないか、と思います。  この手の本としては、1983年に出版され大ブームとなった浅田彰著『構造と力』を完全に上回った、記録的な事件といっていいようです。  私は実は、この原稿を書いている今週末の土曜日(12月18日)に、NHKテレビで放映されたサンデル教授の「ハーバード白熱教室」の監修・解説を務められた小林正弥・千葉大学教授をお迎えして「Worldshift 白熱教室」というイヴェントを企画していることもあり、遅ればせながら今、この本を読み始めているところです。  この本、『構造と力』ほど難解ではないものの、政治哲学の本ですから、簡単に楽しくスラスラ読める、という類のものではありません。『構造と力』のときは、若い学生たちが(当時は私もその一人でしたが)無理をして知的ファッションとして買い漁った、という面が強かったのではないか、と思いますが、今回の大ヒットの原因はどこにあったのでしょうか?  私はこの問題を考えたとき、ふと密かに、「おばさま力」が大きな要因になっているのではないか、と思ったのです。  直接的原因は簡単で、皆様ご存知のようにNHKの「ハーバード白熱教室」が大ブレークしたことです。テレビ放映がなくて本だけだったとしたら、ほとんど注目されなかった可能性も高いと思います。ではなぜ、テレビ番組が受けたのか? それはまず第一に、カッコ良かったからでしょう。  小林氏から直接伺った話ですが、あの番組はそれまでそういった話題にほとんど興味を示さなかった主婦たちまで、結構見ていたそうです。一方で、私の身近にいる法科大学院の学生は、夏前まで、その番組の存在すら知りませんでした。『構造と力』などとは、明らかに異なる現象だったのです。  ではなぜ、主婦たちがあの番組を見るようになったか、というと、「たまたまテレビのチャンネルを次々に見ていたときに、コンサート・ホールのようなきれいなところで、カッコいい先生が、これまた若いカッコいい学生たちと、楽しそうに、かつまた真剣に議論しているところを見て、まさか大学の授業とは思わず、映画のワン・シーンではないかと思って見始めた」というような感じの人もいるようなのです。  そうして話を聞くうちに、番組中で盛り上っている議論に自分も引き込まれ、久しく忘れていた、あるいは初体験の知的興奮を覚えた、という人もいたことでしょう。  また、社会秩序の乱れや不公正感、閉塞感などが高まる中、「正義」というテーマを突きつけられて、それが自分の中の問題意識と一致していた、ということもあったでしょう。  しかし、それらだけではあれだけのブームを説明することは難しいと思います。    私は、4年前の協会ニュースに、「ハンカチ王子と日本人の美意識」という記事を寄稿させていただいたことがあります。その頃活躍話題となった、当時高校生だった斎藤佑樹君と荒川静香選手が、やはりおばさま方に人気となったヨン様やチャングムに近い、日本人にとって懐かしい美があったのではないか、という話でした。  そして今回私は、「ハーバード白熱教室」を見ていて、懐かしいというよりはむしろ新鮮な美を感じたのです。  それは、「真剣に集中した思考をしている人間の発する美しさ」です。  それに似た魅力をもつ美しさを探すとしたら、オリンピックのような大きな舞台に向けて準備をする選手や、囲碁や将棋の名人戦の対局であるとか、プロジェクトXとかトップ・ランナーとかで映される一流の人たちが悩みながら新しいものを創造していく姿でしょう。そういうときの人の表情というのは、とても魅力的ですよね。  それが、世界トップの秀才が集まるハーバードとはいえ、大学の授業であれだけ多数の若者が一斉にああいう素晴らしい表情を見せる。  たくさんの人間が集まって激しい議論をするという意味では共通するものが、そういえばありました。国会です。でも、日本の国会を見ても、相手を引きずり下ろすことしか考えていない、見ていて気分の悪くなる場面がほとんどですね。知的ではあっても、感情面においてはまったく逆方向を向いている。  あの番組を見ていると、そういうのとはまったく違った、きれいなエネルギーが流れているのが、多くの人に無意識にでも感じられたことと思います。  正義のこと、より良い社会のあり方を真剣に考え、肉体的に若々しく感情的に浄化され知的に集中して、魂の輝きさえ感じさせる、人間存在として最高に近い状態であれだけの数の人たちが集まっていたわけですから、どんな映画でもかなわないカッコいいシーンだとすらいえると思います。  サンデル教授が一番重点を置いてやったことは、何が正しいかという結論をだすことではなくて、そういった場を作り出すことだったのではないでしょうか。その場の力によって、結果的に最高の学びが生まれ、視聴者もその恩恵にあずかることができた。  「おばさま力」というと、性差別のように思われるかもしれませんが、そういう美やエネルギーの流れに敏感なのは、男性よりも圧倒的に女性です。そしてその感覚が今回のブームの下支えをし、表からは気づきにくいところで、社会を転換させていく大きな力になっていったのではないかと、私は思います。  そしてマスコミも、今回はいい方向の働きをしてくれました。  NHKがここはチャンスとばかりに、サンデル教授を日本に招き東大での講義を企画したのは当然として、それを切っ掛けに、まじめ系・ビジネス系の新聞・週刊誌ではほとんど取り上げられ、女性誌の『AnAn』、そして『女性セブン』では2回も本格的な特集記事になったようです。  今まであまりにくだらない情報ばかり与えられていた人たちにとって、知性と良心の渇望を癒してくれるものがあったのではないでしょうか。  また、NHKでは対話式講義の有効性に目をつけ、「白熱教室JAPAN」と題して、日本の大学や高校で対話式講義を取り入れている授業を、日曜日18時から1時間枠で継続的に取り上げていくようです。  対話式講義には、トランスミッション(伝達)からトランスアクション(交流)、そしてさらにトランスフォーメーション(変容)へと至る可能性が多分に含まれており、今まであまり手をつけられていなかったと思われる高等教育におけるホリスティック教育の道の一つがこれによって開かれたのではないか、と思います。 (上記の3概念に関しては、吉田敦彦著『ホリスティック教育論』P197~199、『ホリスティック教育入門』中川吉晴氏担当P40等、参照。また、講義以外でも有効な対話の形式が色々出てきて注目されているように感じます。)  実際、小林氏らも対話式講義を、高等教育を中心とする教育改革につなげようと、張り切っており、以下のようなものも刊行されています。これから、どうような流れでさらなる発展をしていくのか、楽しみです。  ホリスティック教育協会の私たちも、その流れにくわわり加速していきませんか? マイケル・サンデル著『ハーバード白熱教室 講義録(上・下)+東大特別授業』(早川書房) 『ハーバード白熱教室 DVD Justice with Michael Sandel』 (NHKエンタープライズ、ポリドール)解説 小林正弥 小林正弥著『サンデルの政治哲学――〈正義〉とは何か』(平凡社新書) 「ホリスティック教育協会ニュース76号」(12月24日発行)より (read more...)

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‘11 2/5 2/19 3/5 対話で学ぶ「正義」の哲学~白熱教室in青山

月曜日, 12月 6th, 2010
3回に渡り、小林先生が対話型講義を行います。 ハーバード白熱教室で議論された主題について、日本の事例を主として用いて対話型講義を行い、新しい議論へと展開します。(NHKカルチャーHPより) 詳しくは下記のNHKカルチャーのページをご参照ください。 http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_580552.html (read more...)

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‘11 1/30 「ハーバード白熱教室」を徹底解説!

月曜日, 12月 6th, 2010
小林先生と「ハーバード白熱教室」の番組プロデューサーが「ハーバード白熱教室」を 徹底解説! 詳しくは下記のNHKカルチャーのページをご参照ください。 http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_580551.html (read more...)

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‘11 1/9 「ケン・ウィルバー インテグラル思想の可能性〜危機の時代への処方箋〜」

月曜日, 12月 6th, 2010
サトルエネルギー学会主催のイベントのお知らせをします。 詳しくは http://subtle-event.seesaa.net/  の左端の欄からお調べください。 【秘教科学】ケン・ウィルバー インテグラル思想の可能性 ~危機の時代への処方箋~ 日時:2011年1月9日(日)    10:00~16:30 ※3部制です 場所:武蔵小杉駅そば 講師:鈴木 則夫    インテグラル・ジャパン代表 『進化の構造』(1995/2000)の発表以降、ケン・ウィルバーの思想は、個人の内面領域だけでなく、世界の全領域を対象とする統合的な思想として確立されました。実際、ウィルバーの確立したAQAL(All Quadrants, All Levelsの略)といわれるモデルは、心理臨床や医療や能力開発といった個人を対象とした領域だけでなく、企業組織の組織改革や文化統合、及び、地方自治体の政策策定や戦略構築をはじめとする集合領域においても積極的に活用されはじめています。 今日、わたしたちは、多様な感性や思惑をもつ関係者がいりみだれる、非常に複雑化した世界に生きています。そうした状況の中でわたしたちが直面する課題や問題は、困難なものとなり、また、その規模は巨大化しています。とりわけ、資源の枯渇や生態系の崩壊をはじめとする、人間の生活環境の劣化は、今、人類の生存そのものを脅かす深刻な脅威として顕在化しています。この未曾有の危機の時代の中で、わたしたちはこれまでに人類が想像してきた諸々の叡智を統合して、目前に存在する実務的な課題や問題に適用していく能力を鍛錬することを要求されています。 ケン・ウィルバーのインテグラル理論は、こうした時代的な要請にこたえるために創造されたものです。今回は、「World Shift」という現代的な問題意識をもつ参加者の方々と対話をとおして、インテグラル理論の概要とその実用的な可能性について探求することができることを祈念しています。 参考資料:鈴木 規夫他著『インテグラル理論入門』(I & II)(2010年 春秋社)   第1部(10:00~12:00) 「ウィルバーの意識論とその実践法 – 人間を統合的に理解する」 第2部(13:00~15:00) 「ウィルバーの世界論とその実践法 – 世界を統合的に理解する」 第3部(15:15~16:30) 「ウィルバーとワールドシフトの対話」 【講師プロフィール】 鈴木 規夫Ph.D.(インテグラル・ジャパン代表取締役) 人間の心理的発達と能力開発の領域において10年以上にわたり研究と実践に取り組んでいる。企業組織における人材育成を主要な活動としており、主に発達段階の測定、リーダーシップ・パイプラインの構築、及び、エグゼクティブ・コーチングとリーダーシップ・トーイニングを担当している。2004年に California (read more...)

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‘10 12/18 「ワールドシフト白熱教室」

日曜日, 12月 5th, 2010
サトルエネルギー学会主催のイベントのお知らせをします。 詳しくは http://subtle-event.seesaa.net/  の左端の欄からお調べください。 12/18(土)  【秘教科学】WorldShift白熱教室 日時:2010年12月18日(土)    18:30~20:40 場所:中原市民館    武蔵小杉駅すぐ メイン講師:小林正弥  (その他の出演者:谷崎テトラ・ガンダーリ松本・福崎芳枝・神尾学) NHK放映に端を発して大ブームとなった「ハーバード白熱教室」。そのマイケル・サンデル教授の盟友にして、テレビでは監修・解説を引受けられ、日本版白熱教室(「対話式講義」)の牽引者で、社会変革に情熱を燃やす 小林正弥・千葉大学教授をお迎えし、次のようなテーマでの白熱教室が実現します!! 「これからのWorld Shiftを考えよう」 世界の変革にはどのようなことが必要でしょうか。個々人の幸福の増大か、自由や権利の増進か、友愛などの美徳や善か。政策や制度の変革か、精神的変革か。対話型講義によって、これからの世界変革を共に考えましょう。 [実際に発言を希望される方は、テレビ放映あるいはサンデル教授の『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房)をお読みいただいた上、マナーを守った発言にご協力ください。]       【小林正弥氏プロフィール】 1963 年生まれ。東京大学法学部助手を経て、2003年より千葉大学法経学部教授、2004年から千葉大学人文社会科学研究科・公共研究センター共同代表(公共哲学センター長)、2006年から地球環境福祉研究センター長。著書に『政治的恩顧主議論-日本政治研究序説』(東京大学出版会)、『友愛革命は可能か- 公共哲学から考える』(平凡社新書、本年3月15日刊)他多数。 【タイム・スケジュール】 18:00開場 18:30開演予定 開会の辞  神尾学 ワールド・シフト紹介  谷崎テトラ アート・オブ・ピース1.  福崎芳枝 (18:50~) World Shift白熱教室  小林正弥 「これからのWorld Shiftを考えよう」 (20:20~) アート・オブ・ピース 2. 「幸せ創造劇場」  ガンダーリ松本 20:40 閉会 【場所】川崎市中原市民館・2階ホール(武蔵小杉駅徒歩3分)  詳細は1218ワールドシフト白熱教室チラシ.pdf(PDF形式)あるいは、http://www.city.kawasaki.jp/88/88nakasi/home/access.html をご覧下さい。 会費 一般999円  会員500円 お申込み&お問合せ:サトルエネルギー学会秘教科学分科会・神尾 Tel&Fax:03-3672-8473 / e-mail:kamio[at]subtle-eng.com ※極力メールでお申し込み下さい。 [at]を@に替えてお送り下さい。 (read more...)

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